ツラツラと横山宏章『中国の異民族支配』集英社新書 を読んでいたら…。

 武昌起義を内部から支えた革命派結社の共進会のシンボルが「十八星旗」であった。(P.84)

 と言う記述にぶち当たりました。おや~!ツンツントゲトゲしたあの旗って元々は革命結社会旗だったのか…。

鉄血十八星旗

鉄血十八星旗

 そう言えば、青天白日旗陸皓東が残して、孫文がハワイで興中会結成の際に革命軍旗に制定したんだっけナァ…。《黄飛鴻之二 男児當自強》でも出てきたよなぁ…と思っていたら、こんな文章にも遭遇。

 無知で妄想にとらわれていたものが、革命が成功するとその初めに漢、満、モンゴル、回、チベットの「五族共和」の説を創設し、官僚もまたこれに付和した。これによって清朝一品武官の五色旗がわが中華民国の国旗となった。五色とは、漢、満、モンゴル、回、チベット、代表するものである。革命党の人々も深く考えずに、わが共和革命の最初の犠牲者である陸皓東先生が定めた中華民国の青天白日旗を捨てて、四分五裂の官僚旗を採用してしまった。(「三民主義」一九一九年)

(P.104)

 おお~五色旗って元々はダイチングルンゆかりのだったとは知りませんでした…。五族共和は後付けだったんですね。

五色共和旗

五色共和旗

 この本を読むと、1911年10月10日の武昌蜂起から1912年1月1日の中華民国成立までに三ヶ月があったモノの、臨時大総統に推された孫文は、武昌蜂起当時はアメリカデンバーにいて、中国に帰国したのも1911年12月の末だったようです。孫文が着いた頃にはもうあらかた中華民国の国の形が出来上がってたわけですから、孫文はやっぱりお飾りの大総統として呼ばれたわけですね。ともあれ、革命派中華民国の主流を占められなかったと言う事実が、国旗一つにも現れているようです。

青天白日旗

青天白日旗

 武昌蜂起から中華民国設立までの三ヶ月の間に、十八星旗五色旗青天白日旗、他に井字旗金瓜斧鉞旗などからどの旗を国旗にするか?と言う国旗の制定に関する議論もあったみたいですね。青天白日旗は見た目が地味だと言うコトで色々改良が試みられて、四種類ほどの草案が作られたようです。結局は南京臨時政府では国旗五色旗と制定され、十八星旗陸軍旗として、青天白日満地紅旗海軍旗として、井字旗元帥旗(方藍井白)、副元帥旗(方白井藍)として採用されたようです。
 しかし、その後も孫文青天白日旗とその改良版の青天白日満地紅旗にこだわり続けて歩みを共にするわけです。孫文の政治的な主張は時によってコロコロ変わるわけですが、旗幟は変えずに人生を全うしたと言えますね。下の草案を見ると、草案四青天白日満地紅旗に、草案三北伐後の陸軍旗になった模様デス。

草案一

草案一

草案二

草案二

草案三

草案三

草案四

草案四

 で、気になったのでwikiでこれらの旗を検索したらコロコロ出てきますね。この中で、それぞれの旗の正式名称を見てると面白かったのでメモ。

  • 武昌蜂起時の旗→鉄血十八星旗
  • 鉄血十八星旗

    鉄血十八星旗

     鉄血十八星旗の赤と黒は革命の鉄血主義を表し、九つの黒い角は《禹貢》の九州を、十八の星は清末内地十八行省(直隷(河北)、河南、山東、山西、陝西、甘粛、江蘇、浙江、安徽、江西、湖北、湖南、四川、福建、広東、広西、雲南、貴州)を表すようです。それにしても名前と言いデザインと言い悪の秘密結社っぽい旗ですね…。こんな色してたんだ。

  • 中華民国初期の旗→五色共和旗
  • 五色共和旗

    五色共和旗

    追記:五色共和旗は元々はダイチングルン海軍旗であった模様。なので、五色漢満蔵蒙回を表したモノではなく、五色官旗を改変したモノというので官僚機構を象徴したモノだった…若しくは五行を表し、赤は火を、黃は土を、青は木を、白は金を、黒は水を象徴したモノだった模様。ただ、何で海軍旗武昌蜂起後の江蘇浙江安徽等の省で革命のシンボルとして採用され、あまつさえ南京臨時政府国旗として採用されるに至ったのかは不明。
     ネットで検索すると、清末北洋艦隊の旗で使われた五色は黄、白、黒、緑、赤で色合いが違うので、五色共和旗が本当に清代海軍旗に由来するのかはやっぱり不明とした方がよさそう。孫文が故意に五色共和旗を貶める意図があって事実を歪曲した可能性があると言うコト。
     ちなみに五族共和を象徴する旗とされてからは、赤=漢族、黄=満洲族、青=モンゴル族、白=ウイグル族、黒=チベット族を表しているとされているものの、異同はある模様。北洋軍閥南京傀儡政権で使用されたり、五色旗を元にした旗を洪憲帝袁世凱中華帝国が使用したり、康徳帝溥儀の傀儡政権・満洲国が使ったりしたのでいいイメージで語られることが少ない気がします。

    更に追記:ネットで検索かけたら北洋艦隊五色長方旗大官旗を発見したので画像載せときます。孫文によると五色旗は、一品官二品官大官旗であったと書いてますが、北洋艦隊では提督従一品官だったようなので、北洋艦隊提督旗北洋艦隊全軍将領旗も載っけておきます。やっぱり配色が違いますね。北洋艦隊の旗としては、ダイチングルン末期の旗である黄龍旗とその変形である三角黄龍旗の方が圧倒的に有名ですね。でも、中国版wiki読むと、元々は上三旗の筆頭である正黄旗の旗を使用していたモノを、西洋風長方形に改めたのが黄龍旗だとか書いてますね。本当かなぁ…。

    五色長方旗

    五色長方旗

    北洋艦隊提督旗

    北洋艦隊提督旗

    北洋艦隊全軍将領旗

    北洋艦隊全軍将領旗

    黄龍旗

    黄龍旗


    三角黄龍旗

    三角黄龍旗

    参考:
    十八星旗
    中華民国国旗
    五色旗
    中国国旗
    從五色旗到青天白日滿地紅
    北洋海军军旗
    中國歷代海軍旗幟
    你不知道的鍵盤功能:~生 活 隨 筆~《海軍旗》