ついでに徐之才について調べてみた

 で、本当は、先の記事と一緒くたに上げてた文章の後半ですが、全然違う話になったので、別のエントリにしてみましたが、ググってみると徐之才もかなり経歴が面白い人のようですね。

 田中芳樹が『蘭陵王』で強調したように、確かに医学方面の著書で名を残しています。《新唐書》では、徐之才の著書として《雷公藥對》二巻の記載がありますし1、他にも《舊唐書》では《徐王八代效驗方》十巻とか、《徐氏家祕方》二巻の撰者として記載されています2。ググると、《雷公藥對》は怪しい名前に反してソコソコ有名な医書っぽいですね。
 でもそれ以上に、文宣帝・高洋に即位を促した人物として史上では知られている人物ですね。《北齊書》の徐之才の本伝にも書かれています3。あと、徐之才には医術だけではなく、戲謔滑稽とか劇談謔語と称される才能もあったようですね…。ウィットに富んだジョークを連発するオモロイ医者だったので、歴代の皇帝が重宝したとか言われると、どんな芸人かと思いますが…。で、若い頃は天文図讖…つまり占術とか予言の類が得意だったみたいで、それで高洋に帝位に就くよう促したみたいです。
 田中芳樹の『蘭陵王』では、徐之才自身が娘の徐仙姑月琴)に北齊の歴史を語るシーン4では、文宣帝の即位は他人事のようにウルトラスルーかましてるあたり、どうなんでしょうねぇ…。当然、医術をもって皇族を救った功もあったんでしょうけど、むしろ禅譲を促した功績の方が大きくて宰相の位に上っているんでしょうから、ウルトラスルーはやっぱり無いな…と思うんですけどねぇ…。田中芳樹も知っていて小説の展開上必要ない挿話なので省いたと思いたいんですけど…。
 また、医術は父親・徐雄譲りらしいんですが、この徐雄って蘭陵太守だったんですよねぇ…なんか因縁あるんですな5
 小説だからどうかなぁ…と思ったんですが、意外と『蘭陵王』は楽しめてますねぇ…。こういう面では田中芳樹の本を読む楽しみは確かにあるんですよねぇ。

  1. 《新唐書》巻五十九 志第四十九 藝文三 丙部子錄 醫術類
  2. 《舊唐書》巻四十七 志第二十七 經籍下 丙部子錄 醫術類
  3. 《北齊書》巻三十三補 列傳第二十五 徐之才 に「之才非唯醫術自進,亦為首唱禪代,又戲謔滑稽」とある。
  4. 田中芳樹『蘭陵王』文藝春秋社 第三章 銅雀台
  5. 《北齊書》巻三十三補 列傳第二十五 徐之才 に「父雄,事南齊,位蘭陵太守,以醫術為江左所稱。」とある

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です