十月圍城

 と言うワケで、辮髪分の枯渇を感じて香港からBlu-rayディスクを取り寄せて見てみました。《十月圍城(英題:Bodyguards And Assassins》(以下、十月圍城)噂通りの辮髪だらけのムービーですね。
 基本的な筋としては、清末香港を舞台に、孫文号:中山、字:逸仙)が秘密会議のために日本からやってくる!という四日前からその当日、孫文を亡き者にしようとする人々と、守ろうとする人々との戦いを描いた映画…ですね。以下ネタバレ含みます。一つだけばらすと、面白かったデスww

 2010東京・中国映画週間では『ボディーガード&アサシンズ』と言う邦題で上映されたみたいですが、日本で公開するかどうかは忘れました。自分が見たのは香港版広東語繁体字字幕で見たので勘違いして見てるかも知れません。悪しからず。

 プロットとしては《黃飛鴻之二 男兒當自強(英題:Once Upon a Time in China II 邦題:ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ 天地大乱》(以下、黄飛鴻と略す)と同じですね。ただ、圧倒的に違うのは、黄飛鴻の方はヒーロー映画ですから、黄先生がカンフーで孫文を亡き者にしようとする人々を張り倒してお仕舞いです。色々テーマもあって主人公も悩みますが、ラストは爽快です。一方、十月圍城はヒーローではなく、市井の名もない人々が主人公ですから、名前もおぼつかない状態で一人また一人と殉職していきます(殉職するとテロップで姓名と本貫地が表示される親切設計…つまり、テロップが出て来ない限りは死んでませんww)。黄飛鴻孫文の人となりを知って共感を以て守ろうとしますが、十月圍城の人々の多くは孫文の顔すら知りませんし、大方は思想に共感したわけでもありません。成り行き上巻き込まれて命をかけることになってしまった人たちです。
 特に両方の映画に出ている甄子丹の役どころの違いが顕著ですね。黄飛鴻ではモンゴル人提督・ナランユンソの役で、黄飛鴻とはお互いを認めつつも立場の違いから死闘を演じます。悪役ですが旧体制を象徴する役どころで何より格好いいです。一方の十月圍城での甄子丹は下っ端警官(香港なのでイギリス租界警察ですが)で、その実は単なる賭徒です。范冰冰と八年結婚生活を送ったモノの愛想尽かされて、商家のおっさんに取られてしまうくらいのダメ助です。おまけに甄子丹に珍しく脱ぎませんwついでに言うと范冰冰も鎖骨出しませんwアクションシーンもありますが、ナランユンソ提督ほど爽快なシーンでもなく、ボコボコに殴られて自慢の綺麗な顔が腫れ上がって誰だか分からないシーンもありました。パッと見別人でしたから、本気ですね。そして殉職シーンは申し訳ないけど映画館で大笑いしちゃいました。いや、普通あれはナンセンスギャグですww
 爽快さとはかけ離れたアクション映画ですし(たとえてみればテレビ版Ζのような)、甄子丹だけでなく、謝霆鋒にしろ黎明にしろ梁家輝にしろ張學友にしろ任達華…はいつもと似たようなモンだったかも知れませんがw、あまりいい役どころではありません(それぞれに見所はあります)。李嘉欣だけは反則的に美味しい役でしたけど。終わってみると敢えて主人公を一人選ぶなら王學圻演じる商家の親父さんかなぁ…という感じなので、どれだけ地味なんだって話ですよね。でも、面白いんですよねぇ…。
 まあ、折角甄子丹が喧嘩パンチ駆使しながら押さえたアクションしてるのに、辮髪すらしてない黎明が空飛んできて何か台無しとかアクション面も色々ありましたが…。

 あと、見所としては清国側の暗殺団の長として胡軍が出てきます。やっぱり良いデスよね。蟒袍羽織ったターミネーターみたいで良かったです。梁家輝の弟子で清国の官吏でインテリですが、眉毛剃った狂信的な愛国武闘派の役どころでした。まあ、国際問題に発展しかねない一般人を大量虐殺するような派手な方法で暗殺?と言うかテロを敢行しているコトから見て、あまり隠密行動というモノを理解してないようですし、政治感覚も致命的に欠けています。おまけに孫文を取り逃すのですから無能と言われても仕方ない様な描かれ方してました…ちょっと可哀想でしたね。大人の事情で派手さが欲しかったんでしょうけどw
 アクション的には甄子丹との共演が見たかったところですがそこはなし…この点ナランユンソ提督と違ってアクション的な見所はありません。代わりに梁家輝との二人芝居は結構見応えがありました。《赤壁》よりも遙かに見所ありましたからねw

 ともあれ、自分孫文は称揚しやすい胡散臭いおっさんだとしか思ってないので、その辺に関しては感銘も受けず…。更に辮髪的にはそこそこ満足感は得られたわけですが、映画の方向性からアクション面では何だか満たされず…。と、とりあえず同時購入した《葉問 2》で補充しなくては!

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