Alice in Wonderland

 と言うワケで、ワザワザ川崎までIMAX3D見に行ってきましたよ”Alice in Wonderland邦題:アリス・イン・ワンダーランド)”。思ったほどティム・バートンしていなかったので、実際の所、同じ役者で同じ監督なら自分は”Edward Scissorhands“の3D版みたいナァ…という思いの方が強かったりしたわけです。
 原作の”Alice’s Adventures in Wonderland邦題:不思議の国のアリス)”や”Through the Looking-Glass, and What Alice Found There邦題:鏡の国のアリス)”をそのまま映像化したわけではないのですが、画面からは原作に対するリスペクトに溢れてました。特に小物類や服飾関係は違和感なく見られたと思います。
 内容についてどうこういう話でもないんですが、パンフレットを見てみると意外とオリジナル要素はあるみたいです。随分前に読んだきりだったので、ちょっとしたエピソードに原作のテイストを感じてニヤニヤする程度でした。
 で、映像的には宙に浮いていて、時折透明になる!チェシャ猫は3D映像として面白かったデス。あとは、常に手を舞うように上げているアン・ハサウェイ演じる白の女王は際立ってました。映画館出るとみんな手を上げたくなる仕草でした。トランプの兵隊赤の女王の配下はちょっとヱヴァ弐号機っぽかったです。白の女王配下は白騎士物語っぽかったんですが、マイナーな話になりますからやめときます。
 自分は吹き替え版見たんですが、赤の女王朴璐美白の女王深田恭子だったのが意外…あってましたね。聞き覚えのある声だけど…とは思ったモノのナカナカ出てきませんでした。成る程!フカキョンは日本版作るんだったら白の女王やって欲しいくらいでした。一見善良そうで腹黒い部分もある人ってフカキョン合いそうですし。
 ”Avatar邦題:アバター)”に比べると、3Dありきという内容ではなかった様に感じます。エンドロール見てもどうやらティム・バートンは箱庭的な世界を3Dで表現したかったみたいですね。自分はこのエンドロール凄い好きです。
 もっとびっくり箱みたいにビョンビョン飛び出す映画かと思ったんですが、予告の”Tron Legacy”の方が余程ビュンビュン飛び出してましたね。と言うコトで公開されたらやっぱりトロン見に行こうと思います。
 と一言だけネタバレの感想を追記で。


 最後にディズニーの中国展開へのメッセージとも取れる「これからの時代は中国よ!」というアリスのセリフで物語の幕引きとなるわけですが、どうせならそこで辮髪清人が出て来れば、自分の中でこの映画のランクは更に上がったと思います。ビクトリア朝イギリスが舞台ですから、まだ中国大陸辮髪に溢れていたわけですからね。

NHKドラマ 蒼穹の昴 第12回 それぞれの戦(いくさ)

 と言うワケで今回は前回に引き続き珍妃のお仕置きの回ですね。写真のことで皇后にいびられた珍妃は、李蓮英の売官のことをそれとなーく光緒帝に告げ口して、却って分を超えて政治に口出ししたことを慈嬉太后に責められて罰を受けます…。

 と言うコトになっていますが、史実に残る事件は真逆ですね…。ちょっと長くなりますが引用します。

 (前略)長春宮の回廊を飾る『紅楼夢』に壁画である。
 透視図による斬新な構図と巧妙な遠近法、一草一葉にいたる細密絵画の手法は、あたかも長春宮が『紅楼夢』の世界の中に存在しているかのような錯覚をもたらす。
 中国の『源氏物語』ともいわれる曹雪芹の長編小説『紅楼夢』は、帝王の封建制を批判したという理由で乾隆が「禁書」としたが、晩清にいたって西太后の愛読書となり、爆発的な流行をみた。西太后の熱中ぶりを知る瑾妃と珍妃の姉妹が、西太后六十歳の賀の贈物として、太后の居宮を飾るべく趣向を凝らしたのであろう。清末の進士で宮廷事情に通じた九鐘主人こと呉士鍳の著『清宮詞』の珍妃を詠った部分の注として「珍、瑾二妃は畫苑をして紅楼夢大観園を畫かしめ、内廷臣に詩を題せしむ」の添書がある。姉妹が発案して大観園の絵画を描かせただけでなく、さらに内定の官人に詩文を求めていたことが知られる。(中略)
 まさに才気煥発を謳われた珍妃姉妹が西太后への恭順を示す「気のきいた贈物」であった。しかしこの抜群のアイディアが王臣達の疑念を招く結果になる。これだけの作品に要した金銭的負担───いかに皇帝の寵愛をうけているとはいえ、この正月、妃に昇格したばかりの姉妹ではないか。その封銀でとうてい賄えるはずもないこの制作費は、いったいどこから出たのだろうか、と。1

 (前略)西太后六十歳の賀の恩恵として珍嬪とその姉は妃に昇格した。その感謝のしるしとして秋の祝典に披露された『紅楼夢』の障壁画は、その抜群の着想で廷臣たちをあっと言わせた。しかしその直後、もう一度全宮廷をあっと言わせる事件が生じる。姉妹そろって妃から無品の貴人に二階級降格させられたのである。(中略)
 その問題とは、口利きによる収賄「売官」であった。2

 と言うワケで、慈嬉太后に懲罰を受けたのは出しゃばって売官を糾弾したからではなく、還暦祝いの為に売官して儲けたためだったわけですね。このスキャンダルが発覚すると、芋蔓式に珍妃のお付きの太監や慈嬉太后お付きの太監も罪を問われて、死刑に処されています。となると、この事件の二年後には妃に復帰している珍妃瑾妃はやはり光緒帝の寵愛あつかったと言うコトでしょうか…。もしくはスキャンダルを利用してお仕置きされたモノか…。どっちもありそうですけど。

2008年11月23日 宣和堂撮影 長春宮扁額

2008年11月23日 宣和堂撮影 長春宮扁額

長春宮紅楼夢長廊

長春宮紅楼夢長廊

 と、長春宮の写真です。いつもの如く写真はあるんですが、紅楼夢障壁画は絵画保護のためにガラスがビッチリはめ込まれているので、あんまりきれいに撮れないんですよねぇ…。暗いしフラッシュ弾くでまともに撮れたことがありません。自分の技術ではコレが精一杯。

 で、個人的には待ちに待ってた李鴻章が漸く(名前だけ)登場するわけですが…原作と扱いが180°違います……。また大陸で評価変わってきたんですかねぇ…。近代化の英雄=ジェネラル・リーではなくどっちかというと、旧態依然とした漢奸買弁のイメージで進めるみたいですねぇ…。

 代わって原作では名前が出て来ない馮子材清仏戦争の英雄として出てきます。自分は寡聞にして知らなかったので、「ええ~清仏戦争って言ったら黒旗軍劉永福じゃないの?」とガッカリでしたが、調べてみると実在の人物で太平天国関係では有名な人だった模様…。光緒帝とも縁があるので、あの文脈なら劉永福ではなく馮子材なんだろうなぁ…と納得。ちなみにこんなおじいちゃんだったみたいです。

《清史図典》第十二冊 光緒 宣統朝 下 P.222

《清史図典》第十二冊 光緒 宣統朝 下 P.222

 今でも公園で太極拳してそうなおじいちゃんですが、六十超えてベトナム遠征してフランス軍の大砲の中に矛持って突っ込んで撃退したり、七十超えても義和団が迫る北京に駆けつけようとしたりする元気なおじちゃんだったみたいです。知らないコトっていっぱいあるんだなぁ…。勉強になりました。

  1. 入江曜子『紫禁城──清朝の歴史を歩く』岩波新書 P.147~148
  2. 入江曜子『紫禁城──清朝の歴史を歩く』岩波新書 P.156

NHKドラマ 蒼穹の昴 第11回 初めての取材

 さて、今回は春児の取材から始まります。…原作では取材後にハゲでデブで四十絡みのトマス・バートン岡圭之介を連れて教会を訪れたりして、郎世寧ことジョゼッペ・カスティリオーネベネチアングラスの関係について語ったりしたのですが、丸ごとカットですねそうですか…。堂子に安置してある龍玉がダミーという設定自体がすでに無いようなので、仕方が無いかも知れませんね…。
 で、珍妃の出番です。今回は珍妃が宮中で写真を撮ると言うので一悶着、いつもイライラしてる皇后にイチャモンつけられます。

中央電視台《故宮》第五集 〈家国之間〉より

中央電視台《故宮》第五集 〈家国之間〉より

 珍妃が写真好きであったとか、紫禁城にカメラを最初に持ち込んだのは珍妃であるとか、光緒帝とコスプレして太監に撮らせたとか言う話はあったみたいです。ただ、真っ当な本で読んだことがなかったり…。謎ですねぇ…。

 で、今回は珍妃が生活していた景仁宮の写真でお茶濁します。
 写真は全て2008年11月23日に宣和堂が北京故宮に参観した際に撮影したモノです。

景仁宮の入り口 障壁が大理石

景仁宮の入り口 障壁が大理石

景仁宮の扁額 質素で飾りがあんまり無いです

景仁宮の扁額 質素で飾りがあんまり無いです

割と風情のない外観です

割と風情のない外観です

2008年11月23日時点では中で陶磁器を陳列してました

2008年11月23日時点では中で陶磁器を陳列してました

多分満洲国経由で摂取された溥儀旧蔵品

多分満洲国経由で摂取された溥儀旧蔵品

景仁宮でしか見なかった大きな木

景仁宮でしか見なかった大きな木

景仁宮の井戸 ある意味こっちが本当の珍妃井w

景仁宮の井戸 ある意味こっちが本当の珍妃井w

 東六宮の一つである景仁宮は、康煕帝の生地である…と同時に珍妃戊戌変法の前に居住していた宮殿です。慈嬉太后が起居した西六宮と比べて地味な印象なのですが、本来は咸豊帝正皇后慈安太后東六宮で暮らしていたことからも分かるように、宮殿のヒエラルキーとしては東の方が上です。
 ただ、慈嬉太后の還暦祝いのリフォームが壮麗であったために、西六宮の方が豪華に見えますよね…。景仁宮珍妃の悲劇性も相まって、非情に質素で閑散とした印象があります。珍妃井よりも気にしてみてる人はいなかったように思います。
 留学時代は非公開地域だったので、参観したときにはテンション上がりましたw

 で、今回はおまけで美顔ローラー

永寿宮の展示室にて 手前右が美顔ローラー

永寿宮の展示室にて 手前右が美顔ローラー

 前回見つからなかった美顔ローラーの写真です。自分が行ったときには永寿宮の陳列室で展示されてました。記憶は確かでしたw