北京古建築地図 目次

 中国のamazon…というかJOYO.COM(卓越網)で遊んでいたら、先日紹介した《北京古建築地図(上冊)(中国古代建築知識普及与伝承系列叢書•北京古建築五書)》精華大学出版社 が売っていたので、思わずリンク。更に、目次があったのでコピペしてみようかと…。

目録
一、北京旧城古建築分布
二、分片索引
三、交通簡図
四、北京古城史略
五、北京古建築分片導覧

(一)皇城:
皇城概述/ 1故宮(紫禁城)/2天安門/3太廟、社稷壇/4景山/5北海、団城/6中南海/7大高玄殿/…………/35普勝寺
(二)皇城外東片
皇城外東片概述/ 1馬輝堂/2什錦家園19号院四合院/3原中法大学/4麟慶宅(半畝園)/5美術館東街25号四合院/6俊啓宅/7東四清真寺/8老舎故居/…………/15北京飯店初期建築
(三)皇城外西片
皇城外西片概述/ 1礼王府/2洵貝勒府/3国立蒙藏学校旧址(鎮国公綿德府)/4儀親王府/
(四)内城南片(1)
内城南片(1)概述 /1正陽門及箭楼/2淳親王府/3原麦加利銀行/…………/25北京内城東南角楼/26明城墻遺址(東部)/
(五)内城南片(2)
内城南片(2)概述 /1明城墻遺址(西部)/2醇親王府/3李大釗故居/…………/16中国農工銀行旧址/17保商銀行旧址/
(六)内城北片(1)
内城北片(1)概述 /1北京鐘鼓楼/2万寧橋/3那王府/4楊昌済故居(豆腐池毛主席故居)/…………/35旧式鋪面房/36為宝書局
(七)内城北片(2)
内城北片(2)概述 /1德勝門箭楼/2匯通祠(乾隆御製詩碑)/3三官廟/…………/36保安寺/37地安門西大街/
(八)内城東片(1)
内城東片概述 /1雍和宮/2柏林寺/3前永康衚衕7号四合院(徐海東、陳毅故居)/…………/16恒親王府/17南豆芽清真寺/
(九)内城東片(2)
内城東片(2)概述 / 1礼士衚衕129号四合院/2内務部街11号四合院(明瑞府、六公主府)/3史家衚衕51号四合院(章士釗故居)/…………/14協和医院住宅群/15寧郡王府/
(十)内城西片(1)
内城西片(1)概述 /1西堂(天主教聖母聖衣堂)/2前公用|衚衕15号四合院/3魁公府/4玉皇閣/…………/20西四転角楼/21元大都下水道/
(十一)内城西片(2)
内城西片(2)概述 /1万松老人塔/2民国地貭調查所/3普寿寺/4斉白石故居/5呂祖閣(呂祖宮)/6鄭王府/7都城隍廟後殿(寝祠)/
(十二)前門外西片
前門外西片概述 /A前門地区/B前門大街/C大柵欄街区/1塩業銀行旧址/2交通銀行旧址/3勧業場旧址/…………/37林白水故居(重建)/38京華印書局
(十三)前門外東片
前門外東片概述 /A鮮魚口街区 /1京奉鉄路正陽門東車站旧址/2福建汀州会館北館/3陽平会館戯楼/4奮章衚衕53号四合院(郝寿臣故居)/5新開路(新革路)20号四合院/6興隆街52号四合院(伝為李蓮英故居)/7金台書院/8薬王廟/
(十四)外城南片
外城南片概述 /1天壇/2先農壇/3正陽橋疏渠記方碑/4永定門(復建)/5燕墩(煙墩)/6湖広会館/7南海会館(康有為故居)/8中山会館/9三聖庵/10陶然亭、慈悲庵/11雲絵楼、清音閣/
(十五)外城西片
外城西片概述 /1報国寺(含顧亭林祠)/2長椿寺/3瀋家本故居/4楊椒山祠松筠庵/…………/12崇效寺藏経閣/13国民政府財政部印刷局旧址/
(十六)外城東片
外城東片概述 /1隆安寺/2袁崇煥祠、墓和廟/3花市清真寺/4花市火神廟/5南崗子天主教堂(聖德肋撒堂)/6法華寺/7夕照寺/

六、附録
(一)北京旧城区旅行資訊
(二)北京古代建築常見術語解説
(三)参考資料
(四)図片来源

 自分くらいの変質者になるとこれくらいでワクワクできますよ。

北京古建築地図 上

 と言うワケで、ある日書虫をヘラヘラ見物していたところ、《北京古建築地図1なる本を発見。さして何も考えずに、「今度行ったときの参考になると良いなぁ…」程度の考えで購入したわけですが…。これ面白いです。

 大体北京の紹介本というと、昔はこうだったああだった的な紹介が殆どでしょう。それはそれとして大事なことなんですが、ガイドブックとしてより重要なのはその建物が何処にあるのか?そして何よりも大事なのが、今は参観できるのか?っていうコトです。
 その点、この本はやってくれました。いつ頃建てられた建築物なのか?どの程度の文化施設なのか2、解放しているか否か?また、現在は何として使用されているのか3等々、あらかた自分が知りたいことが網羅されており、おまけに文献上では知っていたけど、何処にあるのか知らなかった施設が結構あります。ガイドブック的にも使える上に、ぺらぺら捲るだけでも面白い本です。

総参謀部占有…

 去年、北京に行ったときに遠くから眺めた大高玄殿は実は総参謀部が占有していたらしいとか書いてありますし、中共中枢部の通称でもある中南海に関しても民国時代の写真を多く載せていますし(写真が小さいのが本当に残念)、北海公園の建築物なんかもちゃんと紹介しています。おまけに、民国期に撮影された北京…当時の北平?の航空写真も各地域ごとに掲載されていて非常に便利です。
 というか、去年出てればこれでコース考えたのに…と思わないでもないですが、とにかく、ぺらっと捲っただけでも、自分が手にした北京関係の本と比較して、かなりの濃度のある本だと感じられます。京師大学堂の校舎がまだ残ってるとか、溥儀が生まれた醇親王府北府)が元々、康煕朝の大学士・明珠の邸宅で、ここで納蘭性徳が生まれたとか、知らないコト満載です。そうそう、去年あわよくば行こうとしていたサンゴリンチン祠堂は小学校になっている模様…あと、サンゴリンチン邸というか僧王府も現存しているけど現在は民家とか、読んでて飽きませんねぇ…。
 ただ、79元というお値段なら買いなんですが、輸入するとちょっとお高くなっちゃいますねぇ…。北京が好きで古建築が大好き!と言う人は買って損はしないと思います。お薦めです。

 いずれ、この本の情報をGoogleマップとかに落としたいですねぇ…。ともあれ、この濃度で上冊ですから、今から下冊が楽しみです。多分、今度の巻で殆ど北京内城外城はやり尽くしたから、下冊では郊外をやるんでしょうけどこの濃度でもつのか心配ですね…。

 で、このシリーズ…は五冊4出てるんですが、ついついその内の紫禁城頤和園買っちゃいました…。多分出来がよければ、他の二冊も買うと思います…。天壇なんてさして興味無いのに買っちゃうんだろうナァ…。

  1. 李路珂中国古代建筑知識普及与伝承系列叢書 北京建筑五書 北京古建筑地図 上》精華大学
  2. 故宮は世界遺産!天安門は国家級!サンゴリンチン祠堂は区級!とか明記
  3. 国家級の施設が公開されていないのははともかく、民居って誰が住んでるんだろう?とかも明記
  4. 劉暢《中国古代建筑知識普及与伝承系列叢書 北京古建筑五書 北京紫禁城》精華大学
    贾珺《中国古代建筑知識普及与伝承系列叢書 北京古建筑五書 北京頤和園》精華大学
    王貴祥《中国古代建筑知識普及与伝承系列叢書 北京古建筑五書 北京天壇》精華大学
    贾珺《中国古代建筑知識普及与伝承系列叢書 北京古建筑五書 北京四合院》精華大学

ついでに徐之才について調べてみた

 で、本当は、先の記事と一緒くたに上げてた文章の後半ですが、全然違う話になったので、別のエントリにしてみましたが、ググってみると徐之才もかなり経歴が面白い人のようですね。

 田中芳樹が『蘭陵王』で強調したように、確かに医学方面の著書で名を残しています。《新唐書》では、徐之才の著書として《雷公藥對》二巻の記載がありますし1、他にも《舊唐書》では《徐王八代效驗方》十巻とか、《徐氏家祕方》二巻の撰者として記載されています2。ググると、《雷公藥對》は怪しい名前に反してソコソコ有名な医書っぽいですね。
 でもそれ以上に、文宣帝・高洋に即位を促した人物として史上では知られている人物ですね。《北齊書》の徐之才の本伝にも書かれています3。あと、徐之才には医術だけではなく、戲謔滑稽とか劇談謔語と称される才能もあったようですね…。ウィットに富んだジョークを連発するオモロイ医者だったので、歴代の皇帝が重宝したとか言われると、どんな芸人かと思いますが…。で、若い頃は天文図讖…つまり占術とか予言の類が得意だったみたいで、それで高洋に帝位に就くよう促したみたいです。
 田中芳樹の『蘭陵王』では、徐之才自身が娘の徐仙姑月琴)に北齊の歴史を語るシーン4では、文宣帝の即位は他人事のようにウルトラスルーかましてるあたり、どうなんでしょうねぇ…。当然、医術をもって皇族を救った功もあったんでしょうけど、むしろ禅譲を促した功績の方が大きくて宰相の位に上っているんでしょうから、ウルトラスルーはやっぱり無いな…と思うんですけどねぇ…。田中芳樹も知っていて小説の展開上必要ない挿話なので省いたと思いたいんですけど…。
 また、医術は父親・徐雄譲りらしいんですが、この徐雄って蘭陵太守だったんですよねぇ…なんか因縁あるんですな5
 小説だからどうかなぁ…と思ったんですが、意外と『蘭陵王』は楽しめてますねぇ…。こういう面では田中芳樹の本を読む楽しみは確かにあるんですよねぇ。

  1. 《新唐書》巻五十九 志第四十九 藝文三 丙部子錄 醫術類
  2. 《舊唐書》巻四十七 志第二十七 經籍下 丙部子錄 醫術類
  3. 《北齊書》巻三十三補 列傳第二十五 徐之才 に「之才非唯醫術自進,亦為首唱禪代,又戲謔滑稽」とある。
  4. 田中芳樹『蘭陵王』文藝春秋社 第三章 銅雀台
  5. 《北齊書》巻三十三補 列傳第二十五 徐之才 に「父雄,事南齊,位蘭陵太守,以醫術為江左所稱。」とある

《顔氏家訓》にも蘭陵王

 と言うワケで、顔之推/宇都宮清吉訳註顔氏家訓 2』東洋文庫 を結構前に読了。一応、書評的には自らの子孫に残す警句…みたいなコトになるんでしょうが、基本的にはBlog的なアラカルト記事がジャンル毎にまとまっていると言った印象で、自分後半しかまだ読んでいないんですが、言葉としての家訓でイメージするような内容が色濃いのは巻第七 終制第二十1だけですね…。

 北齊北周政界貴族階級の同時代的な記事や、史書とか音楽とか芸事とか文字だとか色々な蘊蓄が詰まっていてます。前にも書きましたが、ワンセンテンスが短いので携帯文化に慣れ親しんだ現代っ子にも優しい構成ですね。
 で、ワクワクして読んでいて、終盤に差し掛かった頃に見慣れたキーワードを発見したのでとりあえずメモしておきます。

  投壺之禮,近世愈精.古者,實以小豆,為其矢之躍也.今則唯欲其驍,益多益喜,乃有倚竿、帶劍、狼壺、豹尾、龍首之名.其尤妙者,有蓮花驍.汝南周2,弘正之子,會稽賀徽,賀革之子,並能一箭四十餘驍.賀又嘗為小障,置壺其外,隔障投之,無所失也.至鄴以來,亦見廣寧、蘭陵諸王,有此校具,舉國遂無投得一驍者.彈亦近世雅戲,消愁釋憒,時可為之.3

 で、蘭陵王と兄の広寧王投壺の段で出てきてます。当該個所の宇都宮訳を引用すると以下の通り…。

(前略)ところが、私が鄴(北斉の都)に行って(五五七頃)からの経験では、広寧王や蘭陵王のところで、やはりこの遊具があるのを見かけたこともあったくらいのことで、斉ではついに誰一人として一驍さえできる者がいなかったというわけだ。4

 南朝貴族サロンでは投壺が盛んで、古代のルールから離れた楽しみ方がされていたみたいですね。一昔前のポリゴン格闘ゲームみたいに連続コンボを決めるのが大流行だったようです。一方、北齊では辛うじて道具を見ることはあっても、ついぞプレイヤーを見ることはなかった…という記事デスね。で、北齊での数少ない遊具保持者として蘭陵王の名前が挙がってます。顔之推蘭陵王投壺をプレイしているところは見なかったようですが、蘭陵王邸に入って投壺が保管されているのを見かけるようなことはあったみたいですね。
 多分、田中芳樹が知っていれば、『蘭陵王5ではこれ見よがしに顔之推蘭陵王府中を徘徊させていたはずなので、この段は見逃したんですかねぇ…。

 ちなみに、東洋文庫版解題を読むと6顔之推は人を褒める際には、《顔氏家訓》の中では必ずその姓名を書き記すモノの、醜聞に属することを書く際にはその姓名を明記しなかったようです。なので、直接的に名前は出さないモノの、祖珽徐之才が下手の横好きと揶揄されているみたいですね…。にもかかわらず、実は顔之推祖珽はかなり仲がよかったらしく、尊敬すらしていたらしい…とも書かれてますね。この辺も田中芳樹が小説中に生かしてくれれば、祖珽の人物像も銀英伝ラングくらいには深みは増したんでしょうけどねぇ…。

  1. 東洋文庫版では第二十章 遺言
  2. 東洋文庫版によると[王貴]
  3. 中央研究院 漢籍電子文獻 顏氏家訓集解 巻第七 雜藝第十九
  4. 東洋文庫版『顔氏家訓』P.194
  5. 田中芳樹『蘭陵王』文藝春秋
  6. 東洋文庫版『顔氏家訓』P.215

顔氏家訓って面白い

 と言うワケで、ノタクタ休日消化してる宣和堂です。
 ノタクタしながら、この間やられた感の強さを感じつつ、顏之推/宇都宮清吉訳註顔氏家訓 2』東洋文庫 を購入しました。何で二巻だけかというと、絶版状態らしく、一巻が手に入らなかったんですね。
 前から興味はあったモノの、読んだこと無かったのでパラパラ読んでみました…。うーん…人生訓というか堅苦しい家訓をイメージしていたんですが違うみたいですねぇ…。今回確認したかったのは、前に記事にした文春のインタビューで田中芳樹が…

中国料理史に関する資料もありますが、こういったことでは民間の小説や随筆のなかの記述が重要です。「今日○○を食べた」なんて書いてあると、ああなるほどと思うわけです。今回の執筆では『顔氏家訓』という随筆がおおいに役に立ちました。1

とか言ってるのが気になったからですね。え~と、関係ないですけど、田中芳樹の小説に出て来るご飯で美味しそうだったのは、個人的にはアンネローゼが作るフリカッセだけでしたね。それはともかく、え…《顔氏家訓》って随筆だったっけ…。気になったわけです。で、寒泉で検索したら、《顔子家訓》は《四庫提要》では巻一百一七 子部二七 雜家類一(雜学)になってます。雑学て…確かに現代的な用語で見ても意外に的を射てる気もしますが。
 なんで、厳密には随筆とは違うんじゃないかなぁ…と思ったんですが、自分の本棚見たら『顔氏家訓』は中国古典文学全集では『歴代随筆2』の巻に入ってるみたいなので、田中芳樹ばかりを責められませんね…。

 で、肝心な内容ですが、パラパラ読んだ限りでは、『ある人にこういう質問を受けたんだ…そこでオイラはこういってやったね』と言う感じのQ&Aや(人生相談ではなくて、学術的な質疑応答みたいなモンですが)、処世術を語るようなスタンスで実は単なるゴシップだったりする記事も結構チラホラ…。ムム…思ってたよりも面白そうな本ですね。こんな事言っては何ですが、ワンセンテンス、ワンセンテンスが短くてテンポがよく、Blogみたいな記事が多い気がします。
 で、著者の顏之推の経歴というと…。若い頃はやんちゃだったとはいえソコソコの貴族の出身です。学識があったので南朝梁湘東王こと元帝に使えたものの、侯景の乱侯景方に攻められて捕虜にされたり、梁皇室の兄弟喧嘩に端を発する西魏の侵攻され、顔之推自身も西魏に徒歩で連行されて半死半生の目にあったりしてます。で、黄河が氾濫したドサクサに紛れて北齊に逃げて、どうにか北齊朝廷に仕えたのに亡国の憂き目に合い、西魏の後継国家・北周にまた仕えることになったとおもったら、すぐに周隋革命が起こり、に鞍替えしています。多くの朝廷に仕えた文官という点では馮道と同じですが、より起伏に富んだ人生を送ってますね。
 経歴だけでも面白いワケですが、《顔氏家訓》の中身も、思ったほど人生訓みたいな説教臭い話は少ないので、ナカナカ面白い読み物になってると思います。もうちょっとパラパラ読んでみますね。

  1. 本の話 < 著者インタビュー >知られざる英雄の生涯
  2. 松枝茂夫・今村与志雄『中国古典文学全集 32 歴代随筆』平凡社
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