陰門陣
と、言うわけで『義和団事件風雲録』を読んでいて見つけた陰門陣ですが、Googleさんで検索すると、割と2chあたりの記事に引っかかりますね…。流石に邦訳あるんだろうなと思ったらやっぱりあるんですな。たまたま実吉達郎『中国妖怪人物辞典』講談社 が手元にあったのでちょっと長めですが抜粋してみます。
宣和堂の節操のない日記
と、言うわけで『義和団事件風雲録』を読んでいて見つけた陰門陣ですが、Googleさんで検索すると、割と2chあたりの記事に引っかかりますね…。流石に邦訳あるんだろうなと思ったらやっぱりあるんですな。たまたま実吉達郎『中国妖怪人物辞典』講談社 が手元にあったのでちょっと長めですが抜粋してみます。
と言うワケで、ひょんなコトからハインリッヒ・シュリーマン/石井和子『シュリーマン旅行記 清国・日本』講談社学術文庫 を読んでます。トロイヤ発見の8年前、当時はむしろクリミヤ戦争で財をなした商人として、シュリーマンは太平天国の乱平定直後の清国の北京と上海に訪れていたわけです。どうにも経歴を見ると香具師という印象が強いシュリーマンですが、旅行記は案外観察眼が確かでフィールドワークとしてはしっかりしたモノに思えます。
中国のamazon…というかJOYO.COM(卓越網)で遊んでいたら、先日紹介した《北京古建築地図(上冊)(中国古代建築知識普及与伝承系列叢書•北京古建築五書)》精華大学出版社 が売っていたので、思わずリンク。更に、目次があったのでコピペしてみようかと…。
目録
一、北京旧城古建築分布
二、分片索引
三、交通簡図
四、北京古城史略
五、北京古建築分片導覧(一)皇城:
皇城概述/ 1故宮(紫禁城)/2天安門/3太廟、社稷壇/4景山/5北海、団城/6中南海/7大高玄殿/…………/35普勝寺
(二)皇城外東片
皇城外東片概述/ 1馬輝堂/2什錦家園19号院四合院/3原中法大学/4麟慶宅(半畝園)/5美術館東街25号四合院/6俊啓宅/7東四清真寺/8老舎故居/…………/15北京飯店初期建築
(三)皇城外西片
皇城外西片概述/ 1礼王府/2洵貝勒府/3国立蒙藏学校旧址(鎮国公綿德府)/4儀親王府/
(四)内城南片(1)
内城南片(1)概述 /1正陽門及箭楼/2淳親王府/3原麦加利銀行/…………/25北京内城東南角楼/26明城墻遺址(東部)/
(五)内城南片(2)
内城南片(2)概述 /1明城墻遺址(西部)/2醇親王府/3李大釗故居/…………/16中国農工銀行旧址/17保商銀行旧址/
(六)内城北片(1)
内城北片(1)概述 /1北京鐘鼓楼/2万寧橋/3那王府/4楊昌済故居(豆腐池毛主席故居)/…………/35旧式鋪面房/36為宝書局
(七)内城北片(2)
内城北片(2)概述 /1德勝門箭楼/2匯通祠(乾隆御製詩碑)/3三官廟/…………/36保安寺/37地安門西大街/
(八)内城東片(1)
内城東片概述 /1雍和宮/2柏林寺/3前永康衚衕7号四合院(徐海東、陳毅故居)/…………/16恒親王府/17南豆芽清真寺/
(九)内城東片(2)
内城東片(2)概述 / 1礼士衚衕129号四合院/2内務部街11号四合院(明瑞府、六公主府)/3史家衚衕51号四合院(章士釗故居)/…………/14協和医院住宅群/15寧郡王府/
(十)内城西片(1)
内城西片(1)概述 /1西堂(天主教聖母聖衣堂)/2前公用|衚衕15号四合院/3魁公府/4玉皇閣/…………/20西四転角楼/21元大都下水道/
(十一)内城西片(2)
内城西片(2)概述 /1万松老人塔/2民国地貭調查所/3普寿寺/4斉白石故居/5呂祖閣(呂祖宮)/6鄭王府/7都城隍廟後殿(寝祠)/
(十二)前門外西片
前門外西片概述 /A前門地区/B前門大街/C大柵欄街区/1塩業銀行旧址/2交通銀行旧址/3勧業場旧址/…………/37林白水故居(重建)/38京華印書局
(十三)前門外東片
前門外東片概述 /A鮮魚口街区 /1京奉鉄路正陽門東車站旧址/2福建汀州会館北館/3陽平会館戯楼/4奮章衚衕53号四合院(郝寿臣故居)/5新開路(新革路)20号四合院/6興隆街52号四合院(伝為李蓮英故居)/7金台書院/8薬王廟/
(十四)外城南片
外城南片概述 /1天壇/2先農壇/3正陽橋疏渠記方碑/4永定門(復建)/5燕墩(煙墩)/6湖広会館/7南海会館(康有為故居)/8中山会館/9三聖庵/10陶然亭、慈悲庵/11雲絵楼、清音閣/
(十五)外城西片
外城西片概述 /1報国寺(含顧亭林祠)/2長椿寺/3瀋家本故居/4楊椒山祠松筠庵/…………/12崇效寺藏経閣/13国民政府財政部印刷局旧址/
(十六)外城東片
外城東片概述 /1隆安寺/2袁崇煥祠、墓和廟/3花市清真寺/4花市火神廟/5南崗子天主教堂(聖德肋撒堂)/6法華寺/7夕照寺/六、附録
(一)北京旧城区旅行資訊
(二)北京古代建築常見術語解説
(三)参考資料
(四)図片来源
自分くらいの変質者になるとこれくらいでワクワクできますよ。
と言うワケで、ある日書虫をヘラヘラ見物していたところ、《北京古建築地図》1なる本を発見。さして何も考えずに、「今度行ったときの参考になると良いなぁ…」程度の考えで購入したわけですが…。これ面白いです。
大体北京の紹介本というと、昔はこうだったああだった的な紹介が殆どでしょう。それはそれとして大事なことなんですが、ガイドブックとしてより重要なのはその建物が何処にあるのか?そして何よりも大事なのが、今は参観できるのか?っていうコトです。
その点、この本はやってくれました。いつ頃建てられた建築物なのか?どの程度の文化施設なのか2、解放しているか否か?また、現在は何として使用されているのか3等々、あらかた自分が知りたいことが網羅されており、おまけに文献上では知っていたけど、何処にあるのか知らなかった施設が結構あります。ガイドブック的にも使える上に、ぺらぺら捲るだけでも面白い本です。
去年、北京に行ったときに遠くから眺めた大高玄殿は実は総参謀部が占有していたらしいとか書いてありますし、中共中枢部の通称でもある中南海に関しても民国時代の写真を多く載せていますし(写真が小さいのが本当に残念)、北海公園の建築物なんかもちゃんと紹介しています。おまけに、民国期に撮影された北京…当時の北平?の航空写真も各地域ごとに掲載されていて非常に便利です。
というか、去年出てればこれでコース考えたのに…と思わないでもないですが、とにかく、ぺらっと捲っただけでも、自分が手にした北京関係の本と比較して、かなりの濃度のある本だと感じられます。京師大学堂の校舎がまだ残ってるとか、溥儀が生まれた醇親王府(北府)が元々、康煕朝の大学士・明珠の邸宅で、ここで納蘭性徳が生まれたとか、知らないコト満載です。そうそう、去年あわよくば行こうとしていたサンゴリンチン祠堂は小学校になっている模様…あと、サンゴリンチン邸というか僧王府も現存しているけど現在は民家とか、読んでて飽きませんねぇ…。
ただ、79元というお値段なら買いなんですが、輸入するとちょっとお高くなっちゃいますねぇ…。北京が好きで古建築が大好き!と言う人は買って損はしないと思います。お薦めです。
いずれ、この本の情報をGoogleマップとかに落としたいですねぇ…。ともあれ、この濃度で上冊ですから、今から下冊が楽しみです。多分、今度の巻で殆ど北京の内城と外城はやり尽くしたから、下冊では郊外をやるんでしょうけどこの濃度でもつのか心配ですね…。
で、このシリーズ…は五冊4出てるんですが、ついついその内の紫禁城と頤和園買っちゃいました…。多分出来がよければ、他の二冊も買うと思います…。天壇なんてさして興味無いのに買っちゃうんだろうナァ…。
と言うワケで、浅田次郎『中原の虹』講談社 を読了しました。イヤハヤ…ホント没法子な状況に天命を帯びた?張作霖が満洲に降り立ったぜ!と言うお話でした。
『蒼穹の昴』でも、史上最凶の皇后という評判のある慈嬉太后や、漢奸のそしりを受けることが多い李鴻章を…まあ、贔屓の引き倒しではなく見方を変えることによって、慈嬉太后を永遠の可憐な少女として、李鴻章を徹底した政治家として描写していました。今回は、似たような手法で百日変法の結果、非常に険悪だったとされる慈嬉太后と光緒帝を実の親子以上の絆で結ばれた関係としたり、史上最悪の簒奪者とされる袁世凱も状況が悪化すると呼び出されて道化じみた芝居をさせられる苦労人として描写しています。この辺、オイオイ!と言いながら引き込まれてしまうあたり流石です。
という所で、ネタバレ全開で登場人物の描写に関する感想です。
慈嬉太后:西洋諸国に中国を渡さないために、敢えて悪女の風評を喧伝させて、中国内部から革命を起こそうとした。又、わが子・同治帝と容姿はそっくりなのに出来の良い光緒帝を心から愛し、西洋人にいじめられないために無理心中。→モノは言い様だけど、流石に無理心中は無いよ…。
光緒帝:瀛台に蟄居させられて遂には精神を病む…と装って意外と正気で、電信機を使って革命派を煽って武昌で武装蜂起するように示唆したり、袁世凱に清朝を簒奪するように唆したりする。→親爸爸愛しさに無理心中とかあり得ないだろう…。それなら大阿哥こと保慶帝はどうやって説明するんだろう…と思ったら、熱狂的慈嬉太后ファンクラブ会員として再登場…。
ダイシャン:清初のスーパースターでドルゴンやホーゲを引き連れて、ホンタイジを謀殺したり、呉三桂を降伏させたり、薙髪令を出したりと六面八臂の大活躍をする。→いくら何でも活躍しすぎ。この人のお陰でダイチングルンは飛躍したといっても良いくらいの活躍ッぷり。ありえね~。
張作霖:根っからの馬賊で、鬼でも仏でもない張作霖。→偉くなり過ぎちゃって内面描写があんまり無いので、この小説中では神様みたいな存在。まあ、神でも悪魔でもない張作霖なんだけど。
袁世凱:熟慮するよりも勘で動いて名声を得てきた俗人。ガンガン思いつきで行動してノシノシと競争者を排除してきたように見えて、実は竹馬の友・徐世昌に急かされて行動してきた。宋教仁のことを誰よりも評価していて、その死後は勘が鈍ってヘタを打った。→極めつけの俗物なのに気が小さくて何かと言えば徐世昌を頼るので、読んでいると感情移入して可愛く感じてくる。ある意味この小説の主人公。まさか、中華皇帝即位が追い込まれた末の苦渋の選択だったとは…と危うく欺されかねないほど感情移入してしまった。
徐世昌:中正、中庸の人で調整役にうってつけ。袁世凱とは長年の友で、科挙に失敗して自殺しようとした袁世凱を助けたことから、長年続く腐れ縁が始まる。→日和見主義のヌボーっとした総統という印象が強かったのだけど、袁世凱とコンビ組ませると可愛くて仕方が無い。
宋教仁:言わずと知れた民初のスーパーアイドル。本書でも遺憾なくアイドルッぷりが発揮される。→アイドルパワーが炸裂しすぎて、中国全土の没法子を背負って立つ存在とまで言われてしまう。この小説での暗殺者は大阿哥・溥雋子飼いの鉄砲玉。袁世凱に濡れ衣を着せるのが動機というやるせなさ。
趙爾巽:《清史稿》編纂者にして実質的な初代東三省総督…という点だけでも面白いオッサンなのに、『ワシも若ければ張作霖と同じようなことをした』みたいなコトを言っちゃうノリノリの爺さん。→自分は趙爾巽が満洲八旗の生まれなのに、漢人八旗の家に養子に出たという記述がホントかどうか気になった。
大阿哥・溥雋:幻の保慶帝。義和団事件の後、ヤクザ社会に足を踏み入れてアヘン窟の王になる。→あれ?大阿哥って義和団の後は新設の新疆省に流されたんじゃあ…とか思ったけど、出番が少ないのに袁世凱暗殺とか美味しい役どころが転がってくるあたり、作者にかなり好かれているモノと見られ…。
鎮国公・載沢:西洋かぶれでシルクハットを被った英語も達者なオシャレ皇族。何やっても怒られないという非常に羨ましい立場ながら、紫禁城内で映画が上映されるという白昼夢的な何かを見て大往生的なフェードアウトをする。→慈嬉太后派の頭脳派皇族として名を残しているモノの、本当にシルクハット被ったジェントルメンだったのかは調べがつかなかった…。
ザッと思いつく限りはこんなモンかしら…。
コレ読んだら、澁谷由里『馬賊で見る「満洲」―張作霖のあゆんだ道』講談社メチエ を読みたくなるのも自然な流れ。白虎張とか漢卿は勿論、好大人とか麒麟ランパも写真が見られたりするので魅力的!