NHKドラマ 蒼穹の昴 第三回 修業
と言うワケで、『蒼穹の昴』の第三回です。……新幹線の中で小説版の文庫本を十年ぶりに読んだんですが、いや、別物ですね…。ドラマももうちょっと破天荒な梁文秀で良いと思うんですが…。なんだか春児の浄身も畢五が出て来ないから唐突な感じになっちゃったわけですねぇ…。と、一応感想をば…。
今週では梁文秀が科挙の結果状元に選ばれるわけですが…。なるほど…言われてみれば、殿試って保和殿前で行ったんですね。小説でも確かそんな表現だったと思うんですが、座卓を持ち込んで答案を書くという発想がなかったので些か驚きました。
え~気になったのは保和殿の扁額が満漢合壁になってなかったことですかね。現在の北京故宮に行くと確かに保和殿始め外朝の三大殿及び端門、午門、太和門(に付随する門や建築物)は漢字のみの扁額がかかっています。
1995年06月07日宣和堂撮影
コレは袁世凱が中華民国・大総統から中華帝国・洪憲帝にクラスチェンジしようとして失敗した際に掛け替えたワケですから、時代考証的にはアウトです。折角横店で撮っているのに、満漢合壁で扁額が作られていないのはおそらく、元ネタになるべき扁額が残っていなかったので、満洲文字がいい加減になるくらいならいっそ作るのやめちゃえ!と言うコトなんですかねぇ…。
あと、ミセス・チャンと梁文秀の淡いロマンスで、辮髪の髪結いが重要なファクターとして登場しているのはドラマオリジナルですがなかなか良いシーンでした。ただ、出来ることなら梁文秀の辮子は見るからに荒れてるくらいの方が良かったと思います。ただ、この頃の満洲女性が男性の辮子を結ったか否かはちょっと自分も分からないんですけどねぇ…。
と、ミセス・張が固倫寿安公主であることが明かされ、慈嬉太后と仲良くおしゃべりするシーンがあったんですが、小説風に慈嬉太后はおきゃんな口調に訳されていないあたりにドラマとして魅力に些かの不安が…。春児に心を開いたり、李鴻章が来てもこの調子だとちょっと残念なんですが…。
《清史図典 第十一冊 光緒 宣統朝 上》P.83
で、英字新聞の記事に出てきた栄禄との不倫は割に昔からよく言われたデマですね。栄禄は16歳という年少時から官界デビュー果たして、以後出世街道をひた走って国権を担う役職を累任します。彼が満洲旗人だとしても異例の出世と言えます。が、そもそも栄禄は慈嬉太后の甥にして、光緒帝の従兄弟に当たる人物ですから、その縁故により出世したわけです。実にシンプル。なので不倫関係とかは流石にないと思われます。
そうそう、予告見るに来週は珍妃と乾隆帝が出演する模様です。ちょっとワクワク。