武侠小説を武侠小説たらしめているモノ。

 いつものようにヒヨヒヨとTwitterをしていたらこんな記事がTLに…。

武侠小説が産み出された歴史的な背景を自分なりに考えてみましたら、結局はいきつくところは水滸伝の成立史と関わってくるようです。水滸伝もあれは武侠小説としか思えませんし1

 うーん…。武侠小説水滸伝にはかなり開きがあるような。と言うコトでちょっとかみついてみました。

@syouyouha 侠義小説と武侠小説をごちゃ混ぜにするのはあんまり関心せんですよ。水滸伝は武侠小説じゃないと思います。2

 と発言したモノの、ハテ…それまでの中国古典小説武侠小説を分けるモノは何だろう?…よくよく考えてみると武侠小説の定義…武侠小説武侠小説たらしめているモノは実はあんまり的確に定義されていないのではないか?と考えて、以下の特徴を挙げてみました。

1:必殺技
 主人公は何だかよく分からない流派のよく分からない剣術とか気功とか使う。物語の主要部分に秘伝書や秘訣が絡む場合があり、秘術を得れば後述の江湖世界を統一できるとかそう言うイメージで語られる。

2:江湖世界
 江湖と呼ばれるアウトロー世界が存在している設定。カタギとは違うヤクザな世界…なハズだけど庶民からも敬愛されてたりする。主人公や主要人物は宗教・政治・武術的な結社に所属している場合が多い。この場合、少林寺・武当山などは宗教、紅花会などは政治結社、これらが武術結社の色合いを濃くしているのは武侠小説。結社は禅宗寺院をモデルにして疑似家族の態をなし、字輩などで世代を表現する。

3:娯楽性
 武侠小説の大きな要素は恋愛要素。古典小説と比較して腫れた惚れたで生涯人のことを慕ったり恨んだりする話が多い。総じて愛憎の幅が広い。それに乗じて復讐譚も多い。また、宝探しネタも多く、時には秘伝書自体が宝物として捜索される話が多い。

4:中国
 金庸小説の場合、舞台が中国…大清版図(大理や契丹、西夏は大清の版図)。愛国心を鼓舞する内容になるコトが多い。主人公が反清組織に入っていたり、チベット僧が悪役の場合が多い。

 自分が武侠小説武侠小説たらしめているモノとして上げたのは以上四点。ただ、水滸伝との違いとしてあげるならコレも足して良いかも…。

倫理観
 水滸伝では無差別殺人をする人間でも、三度の飯より殺しが好き!と、英雄扱いする場合があるが、武侠小説では無差別殺人をする人間は妥当すべき悪として設定さてる。また、水滸伝では自由恋愛する女性は潘金蓮にしろ潘巧雲にしろマイナスに見られがち。ま、不倫なんだけど…。武侠小説では割と悲劇扱いされる。

 モヤモヤしてるのでまだちょっと続けるかもデス。

  1. syouyouha 逍遥派掌門相談役 段 さんの発言
  2. 自分の発言

甲骨文字に歴史を読む

 さて、ドメイン代行の更新を忘れて一時的に繋がらない状況になってました。誰より自分がビックししましたけど、何事もなかったかのように記事を続けます。

 と言うワケでしばらく前に、落合淳思『甲骨文字に歴史を読む』ちくま新書 を読みました。以前読んだ『古代中国の虚像と実像』講談社現代新書 と同じ作者の本ですね。『古代中国の虚像と実像』は思いつきで書いたとしか思えないような、トンデモ一歩手前の本でしたがその中では甲骨文字の部分は面白かったので購入していたのをすっかり忘れてました。

 甲骨文字は知られているように、亀の甲羅牛の肩甲骨を熱して占った内容をその甲羅や骨に書き記した文字です。と言うコトは知られているモノの、意外に実際に亀の甲羅牛の肩甲骨を加工して占ってその結果の記事があります。こういう記事は見たことが無かったので、新鮮ですね。結果的には骨や甲羅を加工しているのは、占いの結果をコントロールするための作業であったと結論づけています。つまり、神権政治と言われて占いをはじめとした神秘主義が全てを支配していたような印象のある殷代ですら、政治の道具として占いと言う手法が使われて、それを神託という形で臣民が納得していた…と言うコトですね。神秘的な世界が一気にトリックのインチキ宗教家に堕してしまったような気がしますが、存外理知的で安心しました。

 あと、甲骨文字に残る祭祀の状況から、自然神と考えられる”“の信仰が殷初期から中期頃にかけて盛んになるモノの、その後はむしろ祖先神の祭祀が盛んになったと指摘しているのはナカナカ興味深いですね。

 また、この本では奴隷制社会と言われた殷代の社会を、実は奴隷が少なかった社会ではなかったか?という仮説にも言及してます。殷代の王墓が巨大なのも、偃師商城が発掘状況から予想される人口に対して遙かに強大な城壁を有しているのも、エジプトピラミッドのように公共事業として自由民を使役して創建されたモノではないか?としていますね。確かにそっちの方が説得力があります。

 甲骨文の解釈や発掘状況から考えて、の直接支配領域は意外と小さい範囲で、王の狩猟地も半日行程で回れるような場所が多かったようです。とはいえ、この時代地名と集団名は同一であったため、周代以降集団が遠方に移住するに従って地名も広範に広がった…という説は移住の事実が明らかにならない限りは机上の空論でしょうね。

 更に、甲骨文字から復元できる王名と《史記》に残る王名が一部とは言え食い違う部分があることに注目してます。初期中期祖先祭祀では見られなかった王名が、殷代後期から急に加えられたり、帝辛紂王)の前代の王・帝乙の名が見られないコトなどの指摘は面白かったデス。ただ、始祖伝説と関係づけるために帝乙と言う王を捏造し、それを西周が後押ししたというのはちょっと眉唾だとは思います。ただ、始祖微子直系の王族では無いのではないか?という疑問は確かに素通りできませんね。…しかし、平勢氏にしろ古代史専攻の人は好きだなぁ…。

 あと、面白かった部分を抜粋。

 なお、甲骨文字に記された祭祀では、神に捧げられている動物は家畜に限られ、狩りで捕らえられた野生動物は対象にはなっていない。野生動物は神からの贈り物であり、牧畜動物は神へ捧げるものという、ある種の交換関係が想定されていたのかもしれない。1

 言われてみるとそういうこともあるのか~という目から鱗の指摘。古代人の精神世界を証明できるとしても本来はこの程度ですね。

「馬」は馬を用いることを職能とした集団であり、当時は戦争に馬車(戦車)が使われたので、それを扱っていたのだろう。「族」は、のちに血縁関係を表示する意味になるが、字形は軍旗(〓)2と矢(〓)3から成り、殷代には軍隊を表す文字であった。甲骨文字には軍事の際に「王族(〓〓)4」と言う集団が動員されていることから、殷代には王の一族が戦争したと考えられた時期もあったが、殷代の「王族」は「王の軍隊」が正しい解釈である。5

 が本来は職能集団を指し、しかもは軍隊を指す…というのはどこから来たんだろう…と、割と呪術抜きでも甲骨文字は面白いです。

「羌(〓6)」は羊(〓7)の角の飾りをつけた人の形である。「羌」の異字体に「〓8」があり、「〓9」は遊牧民の風習である辮髪を表していると言われる。10

 前にも指摘したんですが、やっぱり羌族辮髪だったという指摘は興味深いです。むしろ自分にとってはこのあたりがクライマックス!

  1. 落合淳思『甲骨文字に歴史を読む』ちくま新書 P.077
  2. 甲骨文字1
  3. 甲骨文字2
  4. 甲骨文字3
  5. 落合淳思『甲骨文字に歴史を読む』ちくま新書 P.117
  6. 甲骨文字4
  7. 甲骨文字5
  8. 甲骨文字6
  9. 甲骨文字7
  10. 落合淳思『甲骨文字に歴史を読む』ちくま新書 P.096

劇場版TRICK 霊能力者バトルロイヤル

 と言うワケで、『劇場版TRICK 霊能力者バトルロイヤル』を見に行ってきました。至っていつも通りのトリックでした。エンディングが鬼束ちひろじゃなかったのが唯一いつも通りじゃなかった点でしょうかねぇ…。決して期待以上の出来ではないんですけど、期待通りの展開と期待通りのオチですね。こう来なくっちゃ!

 夏帆は…『天然コケッコー』の頃は良かったのになぁ…。佐藤健岡田以蔵よりも人斬ってきたような表情で良かったです。『龍馬伝』でも最終的にはああいう感じになるのかなぁ…。松平健はやっぱり現代劇に出て来るとおかしい体格してますよねw失礼ですが大爆笑しちゃいましたw

建設中の静岡ガンダムを見に行った

 と言うワケで、暇にかまけて連休中にJR東静岡駅に建設中という1/1ガンダムを見に行ってきました。展示は七月からみたいです。

  • 「実物大ガンダム像」が「模型の世界首都」静岡市へ
  •  JR東静岡駅はwikiの記事でも分かるように出来てそんなに間もない……って十年以上経ったですね。まあ、割と周りは閑散とした印象のある駅で、言われてみればバンダイホビーセンター近くにあったな…と言う印象があるくらいです(ホビーセンター自体は静鉄長沼駅のすぐ横なので、こっちの方が印象に残るわけです)。
     で、お調子者の自分はガンダムの設置が始まったという情報を仕入れて見に行ったわけです。暇だったのでw

    駅から確認するとガンダムのガの字も見当たらない…。

    駅から確認するとガンダムのガの字も見当たらない…。写ってるんですがww

     一瞬、ガンダムの字もないジャン!って帰りかけたんですが、下のブログを見てガンダムの位置を確認しました。

  • 今日のガンダム
  •  出かけてくる前に確認しておけと言う話ですがw

    鉄骨しかありませんがな…。

    鉄骨しかありませんがな…。

     ワザワザ出かけてきたのに、鉄骨だけです。しかも周りを衝立で囲まれてるので中の様子は伺い知れません。

    無駄に威圧感のあるビル。

    無駄に威圧感のあるビル。

     おまけに写真で見るとおり、お隣のALSOKビルが無駄に威圧感ありますww

    国道一号線の向こう側から確認

    国道一号線の向こう側から確認

     しかし、国道一号線から見ると渋滞必至というか…。目隠し作るみたいですけどあんまり意味無いようなww
     東静岡駅挟んで反対側=南側に駐車場はあるモノのコレは隣接する静岡県コンベンションアーツセンター・グランシップの駐車場なので、ガンダム見に来たことで駐車できるか微妙ですし、ローソン第三新東京市店みたいな混雑が予想されるとすると…やっぱり列車使った方がスマートでしょう。本数から考えると他県から来る場合は、新幹線JR静岡静鉄新静岡駅静鉄長沼駅ガンダムというコースが混雑避けられるかも知れませんね。

    武士道シックスティーン

     と言うワケで、行ってきました映画『武士道シックスティーン』。全体的には磯山選手に「ヌルいことやってっと、殺すぞ!」と言われかねない内容でした…。アイドルムービーですね。いや、知ってましたけど、なんというか税金ですからしょうがない。以下続きます。ネタばれてますかね…。

     まあ、成海璃子はがんばって磯山さんに近づこうとはしてたんですが、なんだろう…原作で魅力だった部分が削ぎ落ちちゃってるというか、磯山さんはあんな短いスカート履かないだろうし(多分、かっこ悪くても膝下丈のスカート履く)、丸くないと思う。彼女独自のユーモアも殆ど出てこないのでちょっと物足りないですね…。意図があってそうしてるとも思えませんから、磯山さんはあんなこと言わないwwという場面が続出です。全中二位じゃなくて一位だったし…怜那が出て来ないとはいえちょっと違和感が…。あと、人殺しのような目ではなかったよねぇ…。ただ、ミニスカで胡座かく成海璃子はナカナカ良かったです。
     早苗は…まあ、あんなもんだろうしなぁ…。北乃きいだったんですが、何故か堀北真希と勘違いしててガッカリ感が…。なんで勘違いしたんだろう…。ただ、足裁きが日舞という設定はスポーンと抜けてました。元々強いと言うコトになってました。なんだそりゃ?
     後は…お父さん二人ですかねぇ…。磯山父は厳しくて言葉少ないけど、割と子供突き放したところのある親父さんなのに、磯山選手の試合は全部観戦してたりビデオ撮ったりして結構出来た人です。なのに、映画版は玄明先生と一体化した上に全然出来てない大人になっちゃってるので、娘に謝っちゃったりするので、ちょっと…。
     甲本父は…板尾創路だったので写真出てきた段階で吹きました。あと、甲本父の新発明品=眼鏡無し3D画像再生機で再生される映像が、”Star Wars“のレイア姫のパロディーでした…。つまんなかったかなぁ…面白かったから大爆笑したら場内シーンとしてたんですが…。割と早苗を励ますセリフは良かったですね。
     正直剣道シーンは引きばっかりで、思ったより迫力無かったですね…。早苗が何で凄いのかよく分からなかったし…。小説読んでるときは試合は主人公目線だったので、CCDでもつけてるイメージだからナァ…。この辺はもしかしたらアニメとかの方が良いのかな…と思ったくらい。ワンクールで綺麗に終わりそうだしダメかなぁ…。萌えないからダメか…。
     ともあれ、映画では最終的に磯山さんが悩むのは父親の言いつけ通りに剣道やってたけどコレで良いのか?という、割に青春映画では当たり前の結論に……。オイオイ!武士道どこ行ったんだよ!磯山選手武士道は!と、突っ込みたくなりました。コレじゃ映画全編チャンバラダンスじゃネーか!

     総じて言えば、DVDスルーが妥当の映画ですね。…WOWOWが制作に入っているので地上波に来るにはちょっと時間かかるでしょうし、やっぱりDVDでしょうねぇ…。ガッカリしたから原作読もうかな(『蒼穹の昴』と言いこんなのばっかり)。