大紅綾本、小紅綾本、小黄綾本

 実録の資料を読んでいると、割とサラッと大紅綾本小紅綾本…あと小黄綾本という版本に関する用語が出てきます。常識みたいな感じであんまり説明もないんで、いや、それ何よ…と、思って調べてみました。結構時間かかりましたが…。簡単に言うと、この大紅綾本小黄綾本…という版本の違いは正本副本の差ですね…。あと、収蔵場所も違いますが。
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乾隆帝の生母について─甄嬛のモデル、海寧陳氏の元ネタ─

円明園での一家

 さて、鈴木真センセの新作論文「雍正帝の后妃とその一族i」という論文が学術的に非常に興味深い上にドラマネタ的にも面白い話だったのでメモ。
 で、どんな内容かというと⇒ドラマ《后宫甄嬛传(邦題:宮廷の諍い女)》の中で、正藍旗漢軍旗人である主人公・甄嬛が宮廷から出て道観に出家?して、再度入内する際にニオフル氏に改称するシーンがありました。ドラマ見ていた時には、楊玉環⇒楊貴妃を下敷きにしたのかなぁ…と思っていたのですが、どうやらこれに元ネタがあったようです…。原作小説は清代がモデルではないので、テレビ版がどれくらい意識しているかは分かりませんけど…。

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  1. 『史境』71号 歴史人類学会 [戻る]

清実録一覧

 と言うわけで、清朝の実録編纂に関しては太祖、太宗、世祖の三朝実録の複雑な編纂過程もあったり、満漢蒙の三言語で書かれていたりでかなりめんどくさい事になっています。なので、この辺の事情をやはり纏めておかないとこんがらがるので、纏めてみました。この辺は主に『清代文書資料の研究』の巻末にまとまってる情報を表にしてみただけです。
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天聰5年の六部人事(2016/07/10追記)

※と言うわけで、コメントでご指摘頂いたローマ字表記を『内国史院档 天聰5年』2巻=『天聰五年檔』を元に直しました。かなり訂正がありましたね…。中には『帝国を創った言語政策』の表記を取った箇所もあります。六部の名称も同書の表記に沿うことにしました。あと、各民族名称も『天聰五年檔』に準じた形の名称を併記しておきました。
 庄声センセの『帝国を創った言語政策』のおもしろさを伝えようとして中々できていないのですが、とりあえず、清代の六部に関する表をば…。基本的には『帝国を創った言語政策』のP.85にある表3-1 天聰五年の六部を元に作表しました。六部のマンジュ名称はWikipediaにある清代の官職の項が参考になりました。

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満文老檔と満文原檔

 さて、自分でよくこんがらがるので作表して誤魔化す感じのポストです。
 《満文老檔》は内藤湖南が明治38(1905)年に当時の奉天崇謨閣で発見した満文の史料です。これを奉天檔と言いますけど、ザックリ言うと太祖ヌルハチと太宗ホンタイジの事績が書かれた史料ですね。で、後の研究でこれが《太祖武皇帝実録》、《太宗文皇帝実録》の元ネタであったことが分かっています。
 で、その後、民国20(1931)年に故宮博物院文獻館が清朝内閣大庫を整理した際に同様の形態の檔案が見つかります。これが北京檔です。で、その翌月、同じ内閣大庫からこの《満文老檔》の元ネタと思われる檔冊37冊が発見され、さらにその四年後、民国24(1935)年にはこの檔冊と同じ様式の別檔冊3冊が発見されました。この合計40冊の檔冊が《満文原檔》…もしくは《旧滿洲檔》と称されている清朝最古の記録文章群と言うことになるかと思います。で、これが瀋陽で発見された奉天檔と、故宮で発見された北京檔と、更にその中で有圏点滿洲文字で書かれた有圏点檔子と無圏点檔子があるという…なんだかこんがらがってきましたから、『清代文書資料の研究』の巻末を元にまとめてみました。

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