ドルゴンの印璽

 と言うわけで、前回触れた大将軍号印の話から、今回はドルゴンの入関前後からの勅書に捺印される印璽の話です。
 まず、「グルンの印璽制度をめぐって─ダイチン・グルン太祖と太宗時代の実態─」という論文から長めの引用です。
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聶隠娘と高駢

 と言うワケで、も少し聶隠娘ネタです。先に引用した《太平廣記》本文には、文章の最後にこう書かれてます。

出《傳奇》。

 出典:《伝奇》と書いてあるんですね。ちなみに、宋代の人が唐代の小説を『伝奇』と称したのは、この本からだそうで、そうしてみると、聶隠娘というのは現在の伝奇小説の遠い祖先に当たるようです。
 で、この《伝奇》って本を調べて見ましょう。まずは、《新唐書》芸文志です。

裴鉶 《傳奇》三卷。高駢從事。i

 と言うワケで、どうやら裴鉶と言う人が書いた本らしいのですが……ってこの人、高駢の部下だったと書かれてます。
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  1. 《新唐書》巻五十九 志第四十九 藝文三 丙部子錄 小說家類 [戻る]

アバタイの嫁

 饒餘郡王・アバタイは庶出ながら、鑲黄旗旗王⇒正藍旗旗王としてホンタイジを支え続けた旗王です。庶出なので嫡出の兄弟…たとえばドルゴンやドドに比べると一段低い地位に甘んじ無ければならなかった反面、弟である太宗・ホンタイジからの信任は厚く、死後ですが親王に追封されるまでになっています(ホンタイジ逝去後なので恐らくドルゴンの遺志の入った人事)。本人的には功績の割に嫡出の異母兄弟に比べて出世が遅いことに不本意だと思っていたようですが、たとえば崇徳元年には序列的には同列だったドゥドゥと比べればキチンと評価されていますし、むしろ厚遇されている様にも思えます。で、そんな複雑な事情を抱えるアバタイですが、鈴木真「清初におけるアバタイ宗室-婚姻関係を中心に-」iを読んでいて、面白いコトが書いてあったのでメモ。
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  1. 『歴史人類』第36号, 2008年03月 [戻る]
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